「伴走型のマーケティング支援」という言葉をよく見かけるようになりましたが、実際に何をしてくれるのかは、会社によってかなり違います。
私が考える伴走型支援とは、外から提案や納品をするのではなく、社内のマーケティング部門の一員として、戦略から実行・検証・改善までを一緒に担う支援です。
外注するかどうかの判断基準は、マーケティングはどこまで外注すべき?で書きました。この記事では、伴走型を選んだら実際に何が起きるのかを、FSTOが「ほぼ社員」としてやっていることをもとにお話しします。
伴走型マーケティング支援とは?代行・コンサルとの違い
伴走型と代行・コンサルのいちばんの違いは、「外から関わるか、中に入って関わるか」です。
代行やコンサルは、社内のマーケティング部門から具体的な要望を受けて、それに応える形で成果を出します。つまり、要望を出せる社員が社内にいることが前提です。伴走型は、その「要望を出す側」ごと引き受けます。
| 代行 | コンサル | 伴走型 | |
|---|---|---|---|
| 立ち位置 | 外部の委託先 | 外部の助言者 | 社内のマーケ部門の一員 |
| 担う範囲 | 任された施策の実行 | 戦略・計画の立案 | 戦略から実行・検証・改善、仕組み化まで |
| 追う数字 | 施策ごとの指標 | 計画の妥当性 | 事業としての成果 |
| 社内に残るもの | 施策の成果物 | 戦略の資料 | 運用の仕組みと、判断の経緯 |
表は横にスクロールできます。
どれが優れているという話ではありません。社内に全体を設計できる人がいるなら、代行やコンサルのほうが効率的なこともあります。伴走型が力を発揮するのは、その「マーケティング活動全体を設計する人」がいないときです。
「ほぼ社員」は何をするのか:部門の中で担う6つの役割
FSTOは、マーケティング部門に入り、次の6つの役割を担います。社内(経営・営業・開発)と外部パートナー(広告代理店・制作会社・SEO会社など)の間に立ち、両方をつなぐ位置です。
- 戦略設計:顧客・市場・競合・自社の状況を捉え、事業のリソースと目標から「何をするか」と「何をしないか」を決める
- KPI設計:事業の目標から逆算して、各施策で追う数字を決める
- 施策実行:決めた施策を、自分たちも手を動かしながら実行する
- ベンダー管理:代理店や制作会社への依頼・ディレクションを、事業の目標に合わせてまとめる
- 検証・改善:KPIと予実を定点で見て、原因を見つけ、改善する
- 組織構築:役割を定義し、社内メンバーと外部パートナーが回り続ける体制と仕組みをつくる
中でも強調したいのが「ベンダー管理」です。代理店やツールベンダーは、改善に向けてさまざまな提案をしてくれる心強い存在です。ただ、その提案は各社が追う指標の範囲内での施策であることが多く、事業の目標に合わせてまとめる人がいないと、各社の数字は良くなっても事業の成果にはつながりません。FSTOはこのまとめ役を担います。FSTO経由で発注していない、すでに取引のある会社も対象です。
伴走支援はどう進む?ご契約までと、その後の5つのステップ
初回の面談からご契約までは、目安としておおむね2週間〜1か月です。ご相談の内容や検討状況によって前後します。その後は、現状を深く知るところから始め、成果が再現できる仕組みをつくるところまでを一緒に進めます。
ご契約まで
初回面談で今の状況や目標を伺い、改善に向けた方向性のご提案をお出ししたうえでご契約となります。本格的な調査や具体的な改善提案は、社内の情報を共有していただいてから行うため、ご契約後に進めます。
ご契約後の5つのステップ
- 調査・ヒアリング:短期・中長期の目標や予算、これまでの実績、体制などを共有していただき、必要に応じて追加の調査をします
- 戦略設計:誰に何をどう届けるか、どの数字で成果を測るかを決め、具体的な取り組み内容として提案します
- 体制構築・実行:クライアント・FSTO・パートナー企業の役割分担を決め、制作などのディレクションも含めて施策を動かします
- 検証・改善:数字と現場の変化を見ながら、施策を検証し、改善を繰り返します
- 仕組み化:予実管理の方法、検証の進め方、体制などを、社内で回り続ける形に整えます
戦略を固めるまでの期間、体制を整えて施策を動かす期間、数字を見て改善を回す期間と、段階を踏んで進むので、施策の効果を検証できるまでにはある程度の期間が必要です。各段階の長さは、事業の状況や体制によって変わります。
支援中はどう関わる?「常駐していない社員」
支援中の関わり方をひとことで言うと、「会社に常駐していない社員」です。
- 定例会議:クライアントとFSTOの定例を設け、数字の進捗を確認しながら、具体的な施策や提案を進めます
- 社内の会議への参加:必要に応じて、営業や経営の会議などクライアント側の会議にも参加します
- 定例以外の時間:改善案の検討や施策の実行、パートナー企業とのやりとりを日々進めます。定例で「報告を受けるだけ」の関係ではありません
ただし、すべてを任せていただくわけではありません。「方針と意思決定」と「KPIの確認」はクライアント側で責任を持っていただき、議論しながら進めていきます。FSTOは提案と実行を担い、最終的な判断はクライアントが行う。この役割分担が、伴走が「丸投げ」にならないための前提です。
伴走支援が向いている会社・向いていない会社
向いているのは、「やることはあるのに、前に進める人がいない」会社です。次のうちどれかに当てはまるなら、伴走型を検討する価値があります。
向いている会社
- マーケティング責任者がいない
- 戦略はあるが、実行に落ちていない
- 施策は多いが、連動していない
- 代理店を管理する人がいない
- 数字を見ても、次の一手が決まらない
- 成果を出す運用を、組織に残したい
向いていない会社
- 特定の施策だけを、できるだけ安く頼みたい(施策ごとの代行のほうが合います)
- 短期の単発で終えたい(伴走は、検証と改善を繰り返す前提です)
伴走の3つの関わり方
伴走とひと口に言っても、会社の状況によって入り方は違います。これまでの支援では、大きく3つの形がありました。
1. マーケティング部門を丸ごと受け持つ
社内のマーケティング部門がメインの事業に集中するなどして、手が回らなくなった事業のマーケティングを、部門ごと引き受ける形です。コンセプト設計からKPI設計、施策の実行・検証・改善、仕組み化までを担います。
2. 既存のマーケティング部の中に入って改善する
マーケティング部はあるものの、課題があちこちに散らばり、言葉になっていない状態から始める形です。一緒に課題を掘り起こし、業務・人員・予算を整理し直したうえで、コンセプトやKPI、クリエイティブの改善を進めます。
3. 新規事業を事業戦略から支える
新しい事業やサービスの立ち上げで、コンセプト立案や事業計画から、コミュニケーション設計、広告運用までを一貫して支える形です。
伴走支援を選ぶときに確かめたい4つのこと
「伴走」を掲げる支援会社は増えていますが、中身はさまざまです。契約前に、次の4つを確かめておくことをおすすめします。
- 実行まで手を動かすか:定例で助言するだけなのか、施策の実行やディレクションまで担うのか
- 既存の代理店・ベンダーもまとめてくれるか:自社経由の発注だけでなく、今の取引先も含めて管理してくれるか
- 最後までやりきり、前に進めてくれるか:提案して終わりではなく、成果が出るまで実行・検証・改善を続ける姿勢があるか。また、課題が整理されていない段階でも優先順位をつけ、最初の一歩を決めて動かしてくれるか。伴走は半年以上続くことが多く、施策の知識と同じくらい、この粘り強さが成果を左右します。契約前に「最初の1〜2か月で何をするか」「施策がうまくいかなかったときにどう立て直したか」を具体的に聞くと、見極めやすくなります
- 終わり方まで見据えているか:支援が終わったあとも社内で回るように、仕組み化や役割の引き継ぎまで考えているか
よくある質問
Q. 支援期間はどれくらいですか?
検証と改善を繰り返す前提のため、半年〜1年のご契約からスタートすることが多いです。その後は、状況を見ながら継続や範囲をご相談します。
Q. 社内にマーケティング担当者がいなくても頼めますか?
はい。マーケティング責任者がいない状態からでも、部門の立ち上げや体制づくりを含めてお引き受けします。ただし、方針と意思決定をする方とのすり合わせの時間は多く取らせていただきます。
Q. 社内に担当者がいる場合、部分的に依頼できますか?
できます。既存のマーケティング部の中に入り、足りない役割(戦略設計やKPI設計、ベンダー管理など)を担う形もあります。社内のメンバーと役割を分けながら進めます。
Q. 今の代理店との契約はどうなりますか?
そのまま続けていただいて構いません。FSTO経由ではない代理店やベンダーも、事業の目標に合わせてFSTOがまとめます。そのうえで、役割の見直しが必要な場合はご提案します。
Q. 最終的に内製化できますか?
社内の人員や体制に合わせて、内製化を目指す支援を行います。伴走の最後のステップは「仕組み化」で、予実管理や検証の進め方、体制を社内で回る形に整えます。支援の途中から、少しずつ役割を社内に移していくこともできます。
まずは今の状況を一緒に整理するところから
「伴走が合うのか、代行で十分なのかもわからない」という方も多いと思います。初回の面談で、今の体制と目標を伺いながら、どの形が合うかを一緒に整理します。

